FP2級試験は2025年4月からCBT方式(Computer Based Testing)に移行しました。
これにより、従来の年3回開催からほぼ通年で受験できる仕組みとなり、社会人や学生でも自分のペースで挑戦しやすくなっています。
この記事では、日本FP協会が公開している公式データをもとに、CBT導入後の合格率がどう変化したのかを分析します。
また、学科・実技の違いや、CBT化によって生まれた新たなメリットについても詳しく解説します。
FP2級CBT試験とは?従来との違いと最大のメリット
CBT方式とは、全国のテストセンターでパソコンを使って受験する形式です。
従来の紙試験と異なり、受験者が希望する日時を自由に選べるため、試験スケジュールの柔軟性が大きく向上しました。
FP2級はこれまで年3回(1月・5月・9月)にしか受験できませんでしたが、CBT化によってほぼ一年中いつでも受験可能になりました。
不合格になっても短期間で再受験できるため、「再チャレンジしやすい仕組み」へと進化しています。
この“受験機会の拡大”こそが、CBT導入の最大のメリットです。
合格率の数字以上に、挑戦しやすさが格段に上がったことが注目すべき変化といえるでしょう。
FP2級合格率の推移と傾向分析
ここからは、日本FP協会が公表する「FP技能士の取得者数および試験結果データ」をもとに、
過去10回分(2022〜2025年)の合格率推移を分析します。
CBT導入によって難易度が変化したのか、それとも安定しているのかをデータから検証します。
学科試験の傾向分析

上のグラフは、日本FP協会によるFP2級「学科試験」の合格率推移を示したものです。
青線が各回の合格率、オレンジ線が過去10回分の移動平均です。
2025年4月以降はCBT方式(コンピュータ試験)に切り替わり、グラフ中の破線がその導入時点を示しています。
CBT導入後の合格率は54.78%と、過去平均(約48〜50%)をわずかに上回るものの、全体としては安定した水準を維持しています。
📈 出典:日本FP協会「FP技能士の取得者数および試験結果データ」より筆者作成
実技試験の傾向分析

上のグラフは、FP2級「実技試験(日本FP協会)」の合格率推移を示したものです。
緑線が各回の合格率、紫線が過去10回分の移動平均です。
2025年4〜9月期のCBT試験では、69.67%という高い合格率を記録しました。
この数値は、通常試験で行われた過去10回分の中で最も高かった2022年5月(62.11%)を上回り、
グラフ内でも明らかに目を引くポイントになっています。
ただし、過去をさかのぼると、これを超える合格率(71.01%)が2021年1月に存在します。
つまり、CBT試験が過去最高に受かりやすいというわけではなく、あくまでレンジ内(約48〜70%)での変動です。
また、直前の2025年1月試験が48.8%と低めだったこともあり、
グラフ上では「CBTになってから急に簡単になった」ように見えてしまうかもしれません。
ですが、出題内容や採点基準は従来と変わらず、今回の上昇は受験者層や試験時期の影響が大きいと考えられます。
つまり──数字の上では良い結果に見えるけれど、試験そのものの本質は変わっていない。
安心しすぎず、これまで通りしっかり準備して臨むことが大切ですね。
📈 出典:日本FP協会「FP技能士の取得者数および試験結果データ」より筆者作成
CBT試験で変わったのは「受験チャンスの多さ」
合格率の変動よりも注目すべきなのは、受験機会の拡大です。
CBT方式の導入によって、FP2級は「受けたい時に受けられる試験」へと生まれ変わりました。
従来は年3回の開催で、万一不合格になってしまうと、次の試験まで数か月待たなければなりませんでした。
しかし現在では、全国のテストセンターでほぼ通年受験が可能。
短期間での再受験も容易になり、効率的な学習サイクルを回せるようになりました。
この「再チャレンジのしやすさ」は、忙しい社会人や子育て中の方にとって大きなメリットです。
CBT受験に向けた効果的な勉強法
CBT方式は操作形式が異なるだけで、出題内容そのものは変わりません。
重要なのは、「画面上で解く形式に慣れること」と「試験環境に対応する準備をすること」です。
特にFP2級のように範囲が広く計算も多い試験では、操作慣れ・学習ツール・メモ用紙の使い方という3つの工夫が合格率を大きく左右します。
普段からCBT形式を意識した勉強を取り入れ、知識と慣れの両方を整えることが大切です。
CBT形式に慣れる練習をする
CBT試験では、マウスやキーボードを使って操作するため、紙試験とは違う集中のリズムが必要です。
問題の切り替えやスクロール、見直しの操作などに慣れていないと、知識があっても時間を使いすぎてしまうことがあります。
実際にWeb問題集やオンライン模擬試験を利用し、「1問ごとにクリックで進む」「制限時間内に解く」といった操作感をつかむ練習をしておきましょう。
スマホよりもパソコンで練習したほうが、本番の環境に近づけます。
CBT形式では“問題そのもの”よりも“操作ミス”で失点するケースが少なくありません。
普段からオンラインで問題を解く癖をつけることで、当日の緊張もぐっと軽くなります。
CBT対応の学習ツールを活用する
CBT形式に合わせて、オンラインで学べる教材や問題集を活用するのも効果的です。
特に最近の通信講座では、CBT形式を意識した画面設計や問題演習モードを備えているものもあります。
たとえばスタディングでは、スマホやタブレットからCBTに近い画面構成で問題演習ができ、AIが苦手分野を自動で抽出して復習を促してくれます。
本番さながらの操作感で繰り返し練習できるため、出題傾向と形式の両方に強くなれる点が魅力です。
👉 スタディングの講座一覧を見る(公式サイト)
CBTの特徴は「出題がランダム」「全員が同じ問題を受けるわけではない」こと。
だからこそ、画面操作に慣れながらも、どの分野でも平均して得点できるバランス型の学習が重要です。
メモ用紙をうまく活用する(計算・見直し対策)
CBT試験では、画面上にメモや計算式を書き込むことができません。
そのため、配布される1枚のメモ用紙をどう使いこなすかが、得点力を大きく左右します。
特にFP2級は計算や数字の比較が多いため、この“紙の扱い方”を制することが安定した合格につながります。
紙試験では問題用紙の余白に書き込めましたが、CBTではそれができないため、途中計算を頭の中だけで処理しようとするとミスが増えやすくなります。
この1枚を「自分専用の思考ノート」として使う意識を持ちましょう。
そして、本番でいきなり工夫するのではなく、模擬練習の段階から同じ使い方を繰り返して癖づけることが重要です。
効果的な使い方のコツ
- メモ用紙を3分割して分野ごとに整理する
上から「金融資産運用」「タックス」「不動産・相続」などに分けておくと、
途中計算や再確認のときに迷いません。 - 問題番号を控えておく
CBTには見直し機能がありますが、迷った問題番号を紙にもメモしておくと、
後で戻るときに一瞬で探せます。 - 途中式を必ず書く
「課税所得=所得−控除額」「元利合計=元金×(1+利率×期間)」など、
書くことでケアレスミスを防ぎ、思考が整理されます。 - 模擬試験でも“1枚だけ”を使って練習する
本番と同じ条件でA4用紙を1枚だけ使い、どんな配置が自分に合うかを試しておきましょう。
書き方のパターンを固定しておくと、本番でも迷わず動けます。
CBT試験はデジタル形式ですが、この1枚のメモ用紙があなたの思考を支えるアナログの武器です。
模擬練習の段階から使い方を確立しておけば、本番で焦ることなく、時間配分にも余裕が生まれます。
「メモ用紙を制する者はCBTを制す」──地味ですが、確実に差がつく対策です。
まとめ|CBT導入で広がるFP2級のチャンス
CBT導入後も難易度が下がったわけではありませんが、いつでも受験できる環境が整ったことで、チャンスは確実に増えました。
「日程が合わなくて受けられなかった」「あと数点で不合格だった」――そんな人も、もう一度挑戦しやすい時代です。
CBTの仕組みをうまく活かせば、あなたのペースで受験を計画し、着実に合格を目指すことができます。
FP2級は、単なる資格ではなく、お金の基礎知識を一生もののスキルに変える第一歩。
忙しくても、少しずつ積み上げれば確実に力になります。
生活に直結する実践力が身につく資格だからこそ、今このタイミングで行動する価値があります。
\ 将来への不安を、学びで「安心」に変えましょう。 /

